溺甘副社長にひとり占めされてます。


「白濱社長は、私の叔父なんです」

「そっ、そうだったんだ……あっ。そうだったんですか」

「今まで通りでいてください。私は館下さんの後輩の一人で変わりないですから」


思ってもいなかった事態にうろたえてしまったけれど、目の前にいる村野さんは、やっぱり私の知っているいつも通りの村野さんだ。

正体を知ったところで、あの課長のようにゴマをするつもりもない。

私は彼女の願い通り、普段と変わらない自分でいようと心に誓う。

村野さんが綺麗に並んでいるドレスに触れる。考え込む仕草をしながら、一着一着目を通し、そして確認するように私にも目を向ける。


「ドレス、すごい量だね」

「これ全部、社長が私に用意してくれたものなんです。子供は和臣さんだけだから、女の私が可愛いみたいで。こうやって甘やかしてくれるんです」


村野さんは可愛いから、身内なら余計可愛がりたくなるだろう。


「でも気持ちが伝わらないこともたくさんあって……私、本当は本社じゃなくて、ホテルのブライダルで働きたかったんです。けど本社で働けと言われてしまって、総務課に。どうしても納得できなくて、嫌で嫌で仕方なくて……一緒に働いている館下さんの前でこんなこと言うの申し訳ないですけど、仕事を頑張る気持ちになかなかなれなくて」


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