溺甘副社長にひとり占めされてます。

子供の頃からのコンプレックスだったから、だんだんと苦しくなってきてしまい、私はお弁当を持ってこんなところに逃げ込んでしまったのだ。


コーヒー用のマイボトルを傾け、一口飲み込む。

苦さが口の中に広がり、ちょっとずつ、気持ちが落ち着いていく。

キャップを締め、私は深く息を吐く。

一人になり、冷静さを取り戻せば、抑えていた反論がこみ上げてくる。

書類のことは、宍戸さんのミスだ。

そして名前のことは……白濱副社長も悪い。

副社長はなぜか、私のことを苗字ではなく下の名前で呼ぶ。

それが全ての女性社員に共通してのことだったら、なにも問題は無いと思うけれど、違うのだ。

親しげに名前呼びする人はほんの数人だけ。

他の課の課長や主任クラスの女性社員に対して、名前呼びをしている。

みんなできる女だ。キラキラとした輝きを放ち、社内で一目置かれているような、目立つ存在ばかりだ。

けれど、私は違う。

平凡で地味でぱっとしない私が白濱副社長から親しげに名を呼ばれているのが気に入らないと宍戸さんが愚痴っていたことを、同僚から聞いている。

その思いは彼女の中で現在進行形だ。

美しくて麗しい女性になれない私は、きっとずっと、さっきのような言葉をこれからも言われ続けるのだろう。


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