溺甘副社長にひとり占めされてます。
言いながら彼は器用に、膝の上で私を横抱きにする。
「そうそう。こんな風にね」
私といえば、咄嗟に彼の首元にしがみついてしまっていた。
図らずも、先ほど彼が言っていた通りの体勢になってしまっている。
「ごめんね。一人っきりにさせちゃって。寂しい思いもさせて」
彼が私の身体をきつく抱き締めてきた。やさしく頭を撫でてくる。
そんな恥ずかしいことはしてないと言い返したかったけれど、彼の体温の心地よさに目を閉じれば、徐々に、それはもしかしたら本当のことかもと思い始めていく。
「和臣さん。本当はね、私、ちょっとだけ不安になってました」
ハンガーにかけてあるドレスを視界に宿し、そしてその下に並べて置いた靴を思い浮かべながら、私は言葉を続ける。
「着ていたドレスや履いていた靴は、こうして目の前にあるのに、今日のすべてが夢の中の出来事のみたいに思えてしまって」
きゅっと抱きつく腕に力を込めれば、彼も私を優しく抱きしめ返してきた。
「寝て起きたら全てが夢だったらと思うと怖くなって、和臣さんのこと、起きて待っていようと思ったんですけど……寝ちゃいました」
言いながら自分で自分を呆れてしまう。「気持ちよさそうに寝てたね」と彼の囁きに、つい笑みを浮かべてしまう。