溺甘副社長にひとり占めされてます。
「あっ。待ってください白濱副社長!」
「ないな」
「えっ!?」
「こっちを見てて」
彼は他のカタログを私に押し付け、AquaNextのカタログを持ったままデスクに戻って行ってしまった。
「そんなぁ」と名残惜しく言ってみたけれど、彼は素知らぬ顔をするだけだ。もう私に返す気はないらしい。
仕方なく、残されたカタログを見ることにする。大人しく眺めていると、再び「ところで美麗ちゃん」と白濱副社長が問いかけてきた。
「なにか?」
ちょっぴり棘のある声で答えると、AquaNextのカタログを机上に置いた彼が、私の元へと戻ってきた。
そのまま横に腰掛けてくる。近くなった距離に、緊張で身体が強張ってしまう。
「週末予定ある?」
「えっ、週末ですか?」
動揺しつつ聞き返すと、彼がニコニコ顔のままこくりと頷いた。
休日に、彼と会ったことはない。
もしかしてデートに誘われるのだろうか。
ちらりとそんな予感を抱いてしまえば、変にソワソワしてしまう。
そうだったらどうしようと緊張する傍ら、そうだったら良いなと期待している自分がいる。
「予定は……ありません……けど」