溺甘副社長にひとり占めされてます。
途切れ途切れに返せば、彼が膝に肘を乗せ、頬杖をついた。微笑みを浮かべて、私をじっと見つめる。
「付き合ってもらいたい場所があるんだ。良いかな?」
「はい。別に構いませんけど」
「良かった。休日出勤としてちゃんと給料出すから、安心してね」
「はい?」
デートではなく仕事のお誘いだったことに、がっかりしてしまう。人生そんなに甘くない。
付き合ってもらいたい場所があるということは、そこに私も一緒について行くということで……。
「もしかして……遥子さんの代わりに、秘書として白濱副社長に同行するってことですか? 本当に私で良いんですか?」
予想を口にすれば、白濱副社長が笑みを深めた。
「その通り。さすが美麗ちゃん、察しが良いね」
「でも副社長。何も分からない私より、深野さんや藤田さんの方が適任だと……」
衣擦れの音にハッとし、口を噤んだ。
彼がこちらへ身を乗り出し、私の頬にそっと触れた。そして小さく首を振る。
「美麗ちゃんじゃないとダメなんだ」
大きな手から、じわりと彼の体温が伝わってきて、鼓動が高鳴りだす。何も言えなくなってしまった。
彼は私から手を離すと、代わりにカタログを二冊掴み取った。表紙を見比べながら、思案顔をする。