嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~

「泣くなよ」

優しい声で言われたら、余計に涙が溢れてくる。
すると、新庄くんはふっと笑って、私の目元に唇を寄せた。

「……っ」

突然のことに息をのむ。
驚きのあまり、さっきまで零れていた涙も止まっていた。

「やっと泣き止んだ」

新庄くんが私の頬を優しく撫でる。
彼の大きな掌から伝わる温もりに、鼓動がさらに高鳴った。

「好きだよ」

改めて告げられた言葉に、胸がギュッと締めつけられる。

新庄くんは私の顎をそっと指を添え、ゆっくりと持ち上げた。
視線が絡み、逃げることもできずに見つめ返していたら、整った顔が少しずつ近づいてくる。

反射的に目を閉じると、次の瞬間、唇が重なった。

温かくて柔らかな感触。
ほんの一瞬、触れただけなのに体が熱くなる。

触れていた唇が離れ、恐る恐る目を開けると、すぐそばに新庄くんの顔があった。
優しく細められた瞳に見つめられるだけで、私の鼓動は一気に加速していく。

恥ずかしさや嬉しさなど、いろんな気持ちが混じり合う。

「今まで、俺のせいで嘘をつかせてごめん。もっと早く本当のことを言ってれば、桜井を傷付けることはなかったんだよな」

新庄くんの声に後悔が滲んでいた。
私は小さく首を横に振る。

「俺も嘘つかないから、桜井も二度と嘘はつくなよ」

新庄くん指先が私の唇をなぞる。
返事の代わりに頷けば、彼は満足げに笑ったあと「あっ」と声を漏らす。

「そうだ、町田さんとあまり親しげに話すなよ」

「えっ?」

思いがけない名前が出てきて、ドキッとする。
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