嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~
それでも、新庄くんへの気持ちを簡単に消すことができなかった。
告白して、きっぱり振られたら諦めもつくのかもしれない。
でも、そんな勇気は私にはなかった。

せっかく築き上げてきた関係を、自分から壊してしまうことが怖かった。
だからこそ、この気持ちだけは絶対に知られてはいけない。

新庄くんより好きな人が現れれば、それがきっと一番いいんだろう。
そう思って、何度か友達に誘われて合コンに参加したことがある。
けれど、誰と話しても心が動くことはなかった。

私に興味を持ってくれた人や、連絡先を聞いてくれた人もいた。
だけど、どうしても付き合う気にはなれなくて断ってしまった。

そのとき、言われた一言が胸に残った。

『本気で探す気がないなら、合コンに来る意味ある?』

本当にその通りだと思った。
無理に忘れようとするから、苦しくなる。
自然に気持ちが変わる日が来るまで、無理に誰かを好きになろうとしなくてもいいのかもしれない。

贅沢は言わない。
新庄くんに振り向いてもらえなくてもいい。
本当の気持ちを隠して、なにも知らないふりをして、同期として彼の隣で笑い合えるなら、それだけでいい。

今の関係を失わないためなら、私は嘘をつき続ける。
たとえ、その嘘で自分を傷つけることになっても――。

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