嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~
「あ、ワッフルだ。ちょうど三時だし、私たちもおやつにする?」

「そうですね。じゃあ、コーヒー淹れてきます」

立ち上がろうとしたら、北見さんが首を傾げた。

「あれ、でも麻里奈は虫歯治療の最中じゃなかったっけ?」

「先週で終わりました。だから、もう大丈夫です」

というか、虫歯治療中でも普通に甘いものを食べていた。
私の勝手な持論だけど、歯磨きさえきちんとしていたら問題はないと思う。
まあ、それでも気がつかないうちに虫歯になってしまい、歯医者に通院することになったんだけど。

「そっか、なら大丈夫だね」

「はい。北見さん、ミルクいりますか?」

「今日は砂糖なしのミルクでお願い」

「了解です」

給湯室に行き、コーヒーの準備を始める。
自分の席でも飲食はできるけど、なぜか北見さんが『こっちで食べよう」と言って、給湯室で食べることになった。
狭い空間だけど、それを気にすることなくコーヒーを飲んでいると、北見さんが声をひそめて聞いてくる。

「ねぇ、新庄くんと喧嘩でもした?」

「えっ?」

予想もしていなかった言葉に、私は動きを止めた。

「ど、どうしてですか?」

動揺を悟られないように、なんとか平静を装って聞き返す。

「最近、一緒にいるところを見ないから。それに話してても、事務的なことばかりで、なんかぎこちない感じがするんだよね」

ワッフルをかじりながら、こちらをちらりと見る。
まるで、「どうなの?」と言いたげな表情に見えた。

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