嘘をつく唇に優しいキスを
町田さんは今もキュッと風船をねじり、可愛いピンクのリボンが出来上がってるし!
それに引き替え私は……ため息しか出ない。
落ちている風船の残骸を拾い袋に入れる。
もう一度ポンプで風船を膨らませ、ねじりながら形を作っていく。
どうにか出来た剣は、持ち手の部分が少し短くて不恰好だった。
自分の不甲斐なさに落ち込み、一休みしたくなった。
「ちょっと休憩してもいいですか?」
「あー、だったら今日はもう終わろうか。そんなに根つめてやるもんでもないしな。はい、これは麻里奈ちゃんにプレゼント!」
そう言って私にさっき作っていたリボンの風船を渡してくれた。
「ありがとうございます」
「じゃ、片付けようぜ」
出来上がった犬や剣、リボンを紙袋に入れて会議室を出る。
「手が臭いな」
「ホントですね」
歩きながらお互いに自分の手を臭って苦笑いする。
「俺、まだ仕事が残っているから気を付けて帰りなよ」
「はい。付き合わせてしまってすみません」
「なに言ってるんだよ。俺が無理矢理、麻里奈ちゃんを道連れにしたようなもんだから気にすんなって。それに、いい気分転換になって楽しいから」
確かにそうですよねー。
元はといえば、町田さんが私を巻き込んだんだし……という本音は言えず。
だけど、自分の仕事を後回しにして付き合ってくれていることに感謝してる。
一人だと間違いなく気持ちが萎える。