嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~
でも、任されたからには精一杯頑張りたい。
今泉部長や町田さんから『麻里奈ちゃんだから任せられる』と言ってもらい、その期待に応えなきゃというプレッシャーもある。

今は風船をねじることに苦戦しているけど、イベント当日までにはスムーズにできるようになりたいなと思う。

「なに弱気なこと言ってんの? 大丈夫だって。まだ練習始めたばかりだろ。絶対にできるようになるから、一緒に頑張ろうぜ」

町田さんが満面の笑みを向けてくる。

「……はい」

私は小さく息を吐き、落ちている残骸を拾ってゴミ袋に入れた。

「あ、いい感じにできそう」

そんなことを言いながら町田さんが風船をねじっている。
キュッキュッと手際よく形を整えていき、あっという間に可愛らしいピンクのリボンができあがった。

「……すごい」

思わず感嘆の声が漏れる。

「動画見ながらやったら、意外に簡単にできたよ」

「町田さん、バルーンアートの才能ありますよ」

「俺もそう思う」

町田さんがケラケラ笑いながら言う。
さっきから見ていると、町田さんは風船が割れることを怖がっていない。
適度な力加減で、ためらいなくねじっている。
きっと、あれができるようになればいいんだろう。

私も頑張らなきゃ。
新しい風船を手に取り、ポンプで空気を入れていく。
町田さんのようにとは思うけど、やっぱり割れるのが怖くて指先に力が入る。
慎重にねじりながら形を作っていく。
どうにか剣を完成させたけど、持ち手の部分が少し短い不恰好なものだった。

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