嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~
気持ちの切り替えをするために少し休息がほしくなり、町田さんに声をかけた。

「ちょっと休憩してもいいですか?」

「あー、だったら今日はもう終わろうか。そんなに根つめてやるもんでもないしな」

町田さんはそう言うと、さっき作っていたピンクのリボンを手に取った。

「はい、これは麻里奈ちゃんにプレゼント」

「えっ、いいんですか?」

「うん、せっかくだしね」

「ありがとうございます」

差し出されたリボンを受け取った。
きっと、これをイベントで配ったら子どもたちは『可愛い』と言って喜ぶだろうな。
でも、私にはできる気がしないけど。

「じゃ、片付けようぜ」

「はい」

二人で部屋の片づけを始めた。
床に落ちていた風船の破片やゴミを拾ってビニール袋に入れる。
使った道具をまとめて、最後に軽く部屋を掃除した。
できあがった犬や剣、私がもらったリボンを紙袋に入れる。

「結構作ったな」

「本当ですね。でも、圧倒的に町田さんが作ったものの方が多いですけど」

紙袋の中を見て、思わずため息が漏れた。
しかも、町田さんのは綺麗な出来栄えで、私のは不格好なものばかり。

「まあ、得手不得手は誰にでもあるからな。麻里奈ちゃんはこれからだよ」

「――頑張ります」

「じゃあ、行こっか」

紙袋を手に持ち、二人で会議室を出た。

「手が臭くて早く洗いたい」

「同感です」

歩きながら、お互いに自分の手を臭って苦笑いする。
手のひらには、風船の独特なゴムの臭いがしっかりと残っていた。

< 40 / 103 >

この作品をシェア

pagetop