嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~
新庄くんの言葉にムッとして、言い返したい気持ちがこみ上げてきた。
けれど、ふとある考えが頭に浮かんだ。

私たちは、普段からよく言い合いをしていた。
もしかしたら、この場の雰囲気を変えるために、わざといつもの調子で声をかけてくれたのだとしたら?
そう考えると、どう返したらいいんだろう。
迷っていたら、町田さんがフォローするように口を開いた。

「なんだよ、新庄。そんな言い方はないだろ。麻里奈ちゃんだって一生懸命練習してるんだから、ね?」

「だって、一生懸命やってこれって……」

明らかにバカにしたような顔で私を見る。
その顔を見た瞬間、さっきまでの迷いも飛んでいった。

「私だって本気を出せば剣の二本でも三本でも綺麗に作れますけど!」

「へぇ、本気を出せば……ね」

新庄くんが口角を上げる。

「絶対、俺の方が桜井より上手く作れると思うけど」

「は?」

思わず眉をひそめた。
練習しても、まともに作れなかった私よりも上手く作れる?

「だったら作ってみたらいいじゃない。でも、私の方が新庄くんより上手く作れるけどね」

完全に売り言葉に買い言葉だ。
気づけば、すっかりいつもの調子に戻っていた。

「先に言っておくけど、俺は手先が器用だからな。桜井と違って。もし、俺の方が先に上手く作れたらなんでも言うこと聞けよ」

「それとこれとは話が違うでしょ」

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