嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~
「可愛いけど、平気で毒を吐くし。去年、私は『おばちゃん』て言われたんだよ。確かに結婚してたけど、まだ二十代なのに失礼しちゃうわ」
「暴言には要注意ですね」
「そうよ。なにを言われても気にしないことね。あのとき、私はスルースキルを身につけたわ。子どもの言葉を真に受けてたら身が持たないから、聞き流すのが一番よ」
「なるほど。参考になります」
確かに、子どもは思ったことを悪気なく口にする。
バルーンアートが上手くできなかったら『下手くそ』とか言われるかもしれない。
そのときは、北見さんに言われた通り聞き流して、笑顔で接すればいい。
とにかく、真面目に練習だけはしておこう。
北見さんのアドバイスに耳を傾けながら、何気なくバッグを漁っていたらスマホがないことに気づき、足を止めた。
「どうしたの?」
「スマホを会社に忘れたみたいなので、取りに戻ります」
今の時代、スマホがないのはかなりの痛手だ。
依存症というわけではないけど、常に手元にないと不安になる。
「じゃあ、私も一緒に戻るよ」
「いえ、それは申し訳ないので先に帰ってください」
「別に構わないよ」
「本当に大丈夫です。お気持ちだけ受け取りますね」
会社に戻るだけなのに、先輩まで道連れにするとかあり得ない。
なんとか引き下がらずにいたら、北見さんは折れてくれた。
「そこまで言うなら先に帰るね」
「すみません。お疲れさまでした」
軽く頭を下げた。
北見さんが駅の方へ歩く後ろ姿を見送り、私は来た道を足早に戻った。
「暴言には要注意ですね」
「そうよ。なにを言われても気にしないことね。あのとき、私はスルースキルを身につけたわ。子どもの言葉を真に受けてたら身が持たないから、聞き流すのが一番よ」
「なるほど。参考になります」
確かに、子どもは思ったことを悪気なく口にする。
バルーンアートが上手くできなかったら『下手くそ』とか言われるかもしれない。
そのときは、北見さんに言われた通り聞き流して、笑顔で接すればいい。
とにかく、真面目に練習だけはしておこう。
北見さんのアドバイスに耳を傾けながら、何気なくバッグを漁っていたらスマホがないことに気づき、足を止めた。
「どうしたの?」
「スマホを会社に忘れたみたいなので、取りに戻ります」
今の時代、スマホがないのはかなりの痛手だ。
依存症というわけではないけど、常に手元にないと不安になる。
「じゃあ、私も一緒に戻るよ」
「いえ、それは申し訳ないので先に帰ってください」
「別に構わないよ」
「本当に大丈夫です。お気持ちだけ受け取りますね」
会社に戻るだけなのに、先輩まで道連れにするとかあり得ない。
なんとか引き下がらずにいたら、北見さんは折れてくれた。
「そこまで言うなら先に帰るね」
「すみません。お疲れさまでした」
軽く頭を下げた。
北見さんが駅の方へ歩く後ろ姿を見送り、私は来た道を足早に戻った。