嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~
部長たちは数ヶ月後に控えているイベントの打ち合わせをしていた。
エクステリアの無料相談やDIY体験、園芸用品の販売などを行う、毎年恒例の催しだ。
来場者限定のプレゼントもあり、家族連れで賑わっている。

内容自体は、毎年ほとんど変わらない。
そのため、今年はプレゼントだけでも変化をつけようという話になり、それぞれ案を出し合っていた。

このイベントは一年に一度、土日を利用して開催されている。
去年は、入社一年目ということもあり、事前の準備まで手伝い、当日は休みで参加していなかった。
今年はなにか手伝えることがあれば参加したいと思っている。

「風船なぁ。毎年代わり映えしないからなにか変化をつけたい気もするな」

今泉部長の言葉に町田さんが「確かに」と頷いた。

「今年は違った方向で考えてみます?」

「そうだな。麻里奈ちゃんはどう思う?」

不意に今泉部長に名前を呼ばれ、ドキッとした。

「え、私ですか?」

まさか、自分に話を振られるとは思っていなかったので、声が裏返る。
みんなの視線が集中し、変な汗が流れた。

なにがいいだろうと、慌てて考える。
風船以外だと、子どもが好きそうなお菓子の詰め合わせもアリだけど……。
ふと、頭にデパートでよく見かける光景が浮かんだ。

「あの、風船ならバルーンアートとかはどうですか?」

「バルーンアート?」

水内さんが小さく繰り返す。


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