嘘をつく唇に優しいキスを~諦めた恋が動き出すとき~

――パンッ
乾いた破裂音が響き、風船が割れた。

「わっ」

子どもたちは目を見開いて、驚きの声を出す。
一瞬、頭が真っ白になってしまった。
周りの視線を感じ、心臓がドクンと大きく鳴る。
これはまずい。
私はすぐに気持ちを切り替え、できるだけ安心させるように笑顔をつくった。

「ごめんね。ビックリしたよね」

そう言った瞬間、子どもたちの声が次々と聞こえてきた。

「マジでビビった。おねえちゃん、へたくそじゃん」

「ちゃんとつくれるの?」

子どもたちの無邪気だけど容赦ない言葉が、胸に突き刺さる。
悪気はないのは分かっているけど、心が折れそうになった。

ふと、『なにを言われても気にしない』という北見さんのアドバイスを思い出す。
その言葉を心の中で唱えて深呼吸し、気持ちを落ちつかせる。
そのとき、聞き慣れた声がした。

「桜井、ヘルプに来た」

新庄くんが、まるで救世主みたいなタイミングでやって来た。
そして、彼はハンドポンプで風船に空気を入れ始める。

私は、突然のことに驚いて目を見開いた。
どうして新庄くんが?

自分の担当ブースもあるのに大丈夫なのか聞きたかったけど、新庄くんは子どもたちに向かって笑顔で声をかけていた。

「このお姉ちゃん、緊張して失敗しちゃったけどちゃんと作れるから安心しな。一生懸命練習してたし、お兄ちゃんも一緒に作るから」

新庄くんの言葉に胸が詰まる。

「んじゃ、青色の服の君はどっちがいい?」

「ボクは犬!」

「了解」

新庄くんは二番目に並んでいた子のリクエストを聞くと、手際よく風船をねじり、あっという間に犬を作った。
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