笑顔をくれた駅員さん



「あっ、ここだよ。」





しばらくして私の家に着いた。





「皆様、大変長らくお待たせいたしました。莉子ちゃん家~、莉子ちゃん家でございます」






「駅員さんっぽ~い」






「俺駅員だからな?でも運転するには国家資格がいるんだよ。運転するのが夢だったからいつか運転してみせる」





「そうなんだ。頑張って!駅員さんならきっとなれるよ!」






「あはは。ありがとう。それに今日は貴重な日曜日を裂いてくれてありがとう。きっと喜ぶと思う。」







「い、いえいえこちらこそ!色々とご馳走様でした」






「あはは!いやいや。今日、楽しかったよ」






「うん…私も…」





なんだか泣きそうになった。





ずっと駅員さんと一緒にいたい気持ちが大きくなって。





週が明けたらまた週1で会えるようになるのに。




帰りたくない。






胸がきゅっと締め付けられる。





「じゃ、じゃあ、私はこれで。ありがとうございました」





助手席のドアを開ける。




「莉子ちゃん」





「なに?」





「また、ラーメン行こうな」





そう言ってくれたおかげで私の心は軽くなった。




また約束をしてくれた。





「うん。おやすみなさい」






ドアを閉める。




車が走り出して、駅員さんは窓から顔を出して「またなー!」と言った。





私も大きく頷いて、手を降った。





ずっと、車が見えなくなるまで。



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