笑顔をくれた駅員さん
私が教室へ入ると、女子から注がれる冷たい視線。
結局は自分もいじめられたくないからみんな強い者の味方につく。
だから私は、私を助けてくれる人がいるかもなんて期待は、はなからしない。
鼻の奥がツンとして涙がにじんできたけれど、泣いたら負けだと思って、表情1つ変えずに自分の席へ向かった。
自分の席に行くと、何かが置かれているのが見えた。
それは大量の折りたたまれた紙だった。
1つ開いてみると、”男好き”と書かれていた。
ドクン、と心臓が嫌な音をたてた。
それを見て唇をぎゅっと噛み締めた。
そして大量の紙をぐしゃぐしゃにしてそのまま鞄に入れた。
奏斗くんに見られたくなかったから。
奏斗くんは誰にでも優しい。
だから私がいじめられていると知ったらまた助けに来てくれると思う。
それを南原さんが見たらまたいじめの繰り返しになってしまう。
私が避けても…
その後、担任が教室へ入ってきてから奏斗くんが登校してきた。
「先生!俺セーフだよな!?」
「そうだな。アウトだな。後で職員室来いよ?」
「えー!ひっでえー」
そのやり取りにクラスが笑いに包まれた。
でも、私は笑えるわけがなかった。