御曹司と恋のかけひき

4話

お台場に着く前に、予約しておいたというレストランへ入る。

店の中はすでに混雑しており、入店時40分待ちと店員さんが話していたので、
人気店なのだろう。

観光地はおろか、有名店などにもうとく、まったく見当もつかないが、
そういった事に詳しい女子でも、満足するセレクトだろうと予想が付く。

予約されていた席に案内され、藤沢さんが自然に椅子を引いてくれる、
笑顔を向け、席に腰かけ周りを見渡す。

マダムと思わしき女性が多く、話し声は聞こえるが、
うるさいといった感じはない、
静かな音楽が流れ、ゆったりとした雰囲気にしてくれている。

藤沢さんはコースを勧めたが、前菜のサラダとパスタだけをオーダーした。

女性はデザートとか好きなのでは?と聞かれたが、
普段昼食はサンドイッチかおにぎりの為、それほど量が食べれないと答えた、
もちろんスイーツは大好きである。

「朝食は何食べているの?」

「野菜中心のスムージーとシリアルです」

車の中で、ほとんど話をしなかったのとは逆に、
レストランではほぼ話しどおしだった。

高校の時、藤沢さんはバスケットボールをしていて、私はバドミントン、
今日は、お台場だが、浅草や新宿、築地にも行ってみたいなど、

何気ない会話がずっと続く。

「このパスタ美味しかったです」

「手打ちでこだわっているからね。ほんとうにデザートとかいいの?
ここはケーキとかも美味しいよ」

「もう食べれません、次はケーキ目当てで来たいですね」

そういって、藤沢さんがデザートを口にするのを見る、
お皿の上に小さなケーキが2種類とアイスクリームが乗っている。

美味しそうと、少し羨ましくなりながらも、
どう考えても、これ以上食べれそうにはなかった。

「夕飯は普通に食べるんだよね?」

「そうですね、夕飯だけが、食事らしい食事かもしれません」

「少し安心した」

そういってデザートを食べながらコーヒーを飲んでいる。

そんな彼を見つめていると、ふと目が合った。

二人とも、びっくりしたような表情になり、微笑み合う。

「何?」

「美味しいですか?」

「もちろん」

なにげない会話がくすぐったく思える。

御曹司だから、何か特別な事があるかなと思っていたけど、
セレクトが少し上のランクなだけで、普通の男の子と変わらない。

そんな事を考えながら、会話に花を咲かせていた。
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