好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


肩に額を押し当てたまま、黎は強く抱きしめて来た。
 

どういう意味なのだろう。


覆らないことに文句を言ったって、黎を困らせるだけだ。
 

……今の黎は、少し傷付いているように見えた。
 

黎の背中に腕を廻して、真紅の方からも抱き付いた。


「逢えなくて淋しい分、今いっぱい見ておくとかじゃ、ダメ? 私も淋しくなっちゃう分、黎のこと見たい」
 

ぴくりと、黎の頭が動いた。
 

ゆっくりと、黎の頭が持ちあがる。


「……本当?」


「え……と、じゃあ、実習終わったらもっと――」


「淋しいって、思ってくれる?」

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