好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】



真紅が黎に拉致されてしまった。
 

見送った海雨は、ベッドに身を投げ出した。


「あーあ。一人になっちゃたし……勉強でもするかー」
 

病院にいることが多いから、何かと遅れがちになってしまう海雨だ。


在籍するのは単位制の高校だが出席日数も危ないので、方法の一つとして高卒認定――昔の大検――を取って単位を補うことも考えている。


そのためには、やはり勉強は怠れない。


高校生になってから海雨の暇つぶしは、イコール勉強となっている。


病院には海雨の勉強を見てくれる『いい先生』もいるし――


「梨実さん、入っていいかな?」


「あ、澪さん。どーぞー」
 

さっき、真紅に一方的にバチバチしていた澪と別人かと思うほど穏やかな顔で、カーテンを開けて来た。

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