好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「どうしたんですか?」
「うん、たぶん黎が、梨実さんからお嬢さんを連れ去っちゃってると思って。お詫びというかね。話し相手にでも使って」
苦笑する澪。つられて海雨からも笑みがこぼれた。
どうぞ、とパイプ椅子を勧めた。澪は海雨に斜めになるような位置で座った。
「お仕事はいいんですか? 黎さんもですけど」
「今日はどっちも休みだよ」
「でも黎さん、白衣着てましたけど?」
「あいつは目立つからさ。見舞客だと思われてナンパされること多いから、休みの日でも病院の奴だってわかるように白衣着用。それはスタッフも承知してるから、まあ問題防止と言うかね」
「なんか納得です」
思わず肯いてしまう海雨。黎は人目を引く容姿をしているから。
「澪さんはいいんですか?」