好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


澪は、そのために。


「……澪さん、人が良すぎますよ。友達とその彼女のために、自分が嫌われ役になるって」


「そうかな。言ってることは結構腹の中で思ってることだよ? 俺の血は黒いらしいからね。腹黒より上かもよ?」
 

そう、冗談めかす澪。
 

それでも海雨は、いっそ損なくらい、いい人だと思う。


真紅と黎が手を繋いだら、立ちはだかる壁がある。


その前に、澪は踏み台になるつもりで真紅に接しているのだ。
 

これから真紅が受けるだろう中傷に、少しでも耐性をつけさせるため、折れないようにするため――黎との未来を成就させるため、真紅を強くさせようとしている。
 


恋人に頼り切りにならず、自分の足元が揺らがない『お嬢さん』にするために。
 

……それを知っているから海雨も、澪が真紅にキツい態度をとったり厳しいことを言っても、憎み切れないでいた。

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