好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「梨実さんは嫌じゃなかったの? 相手が知り合いだったとはいえ、親友に彼氏出来ちゃって」
 

澪に問われて、海雨は姿勢を正した。


「あたしは、正直言って安心してるんです」


「安心?」
 

澪は不思議そうに訊き返す。


「真紅はあたしのところにいてくれるために友達の誘い断っちゃうような子で、クラスでちょっと浮いてる感じがあるみたいだったんです。不器用なんですよね。だから、色々と事情はあるにしても、彼氏がいるっていう普通の幸せ? を手にしてくれて、安心してるんです」
 

真紅の最優先事項は、ずっと海雨だった。


その偏(かたよ)りが今、揺らごうとしている。


少し、淋しい。


真紅、よかったねって言ってあげたい。
 

でも、と続けた。

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