好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「いい……いいわねえ~っ」
「……梨実さん?」
急に瞳をキラキラさせ出した海雨の母に、澪は怪訝そうな顔をする。
「わたし恋バナ大っすきなのよっ。でも海雨も真紅ちゃんも今までそういう話全然なかったから淋しかったの」
乙女のように頬を染める母。
母のこの性格を知っている海雨はため息をついた。
「悪かったね。でもお母さん、真紅はおうちの関係でちょっと大変な時期なんだから、真紅にも黎さんにもヘンなこと言わないでよ?」
「ああ、そう言えばお母さんのご実家に入ったんだっけ? そういうのあるのねえ。で、海雨は? せめて好きな人とかいないの?」
「あたしはそんなことより高校卒業のが目標なのっ」
それにこんな身体じゃ……海雨は気落ちしそうになったけれど、そこは母。
すかさずフォローを入れてくれる。