好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「は? 急になに」


「いや。お前がそこまで動揺するのも、一人の人間に左右されんのも、初めて見たから」


「………」


「急に可愛いと思った、って、後付けの理由だろ。そう繕(つくろ)わないと、理由がなかった。お前が告ったのは、単にあふれたからだろ。コップの水みたいに」


「………」
 

コップに水を入れて行けば、やがていっぱいになる。


それでも入れ続けたら、コップからあふれて流れ出るだけだ。
 

黎が推測するのは、それが澪の海雨に対する気持ちだったということだ。
 

澪も自覚がないほど静かに、海雨への気持ちは満ちて行った。


「……お前とこういう話マジメにするの初めてだけど、」


「なんだよ」


黎は真面目な顔で言った。


「薄ら気味悪いな」


「もうなんでお嬢さんがお前みたいな人間失格に惚れたのか謎過ぎて困る」


真顔で言われた。


「元が人間じゃねえからな」
 

今はただの人間だけど、と付け足して置いた。


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