愛し紅蓮の瞳
「っきゃ、」
雪の深みにはまり縺れた足のせいで、バランスを保つ事が出来ずに勢いよく雪の上倒れ込んだ私を低い唸り声が襲う。
漆黒の夜に、ギラリと光る瞳とぶつかる視線。
怖くて声も出せないまま、もうダメだ
……そう思ってギュッと強く目をつぶった。
───ザザッ
何かが雪を踏む音と、フワッと包み込むように抱きしめられる感覚に、思わず強くつぶった目を開く。
「……ぐ、れん?」
私を片腕で庇うように抱きしめて、もう片方には剣を構えた紅蓮は、
狼の群れを真っ直ぐ見据えたままピクリともしない。対する狼の群れも、紅蓮を見つめたまま動こうとしない。
何これ……。
どうなってるの?
もう一度、紅蓮の名前を呼ぼうと口を開いた私は、
「……散れ」
低く、だけどよく澄んだ、どこまでも良く響く声で放たれた紅蓮の言葉に肩をビクッと震わせた。
途端、私たちとは反対へ向かって勢いよく走り去っていく狼の群れ。
張り詰めた空気が一瞬で和らいで、その場にへたり込みそうになる私を、紅蓮の腕がグッと支えた。
「馬鹿か、お前は!!」
「っ、」
こんなに怖い思いした私に対して、第一声がそれ?嘘でしょ!?
助けに来てくれたこと、ほんの少しだけ嬉しいと思ってしまった自分がバカみたいに思えてくる。
雪の深みにはまり縺れた足のせいで、バランスを保つ事が出来ずに勢いよく雪の上倒れ込んだ私を低い唸り声が襲う。
漆黒の夜に、ギラリと光る瞳とぶつかる視線。
怖くて声も出せないまま、もうダメだ
……そう思ってギュッと強く目をつぶった。
───ザザッ
何かが雪を踏む音と、フワッと包み込むように抱きしめられる感覚に、思わず強くつぶった目を開く。
「……ぐ、れん?」
私を片腕で庇うように抱きしめて、もう片方には剣を構えた紅蓮は、
狼の群れを真っ直ぐ見据えたままピクリともしない。対する狼の群れも、紅蓮を見つめたまま動こうとしない。
何これ……。
どうなってるの?
もう一度、紅蓮の名前を呼ぼうと口を開いた私は、
「……散れ」
低く、だけどよく澄んだ、どこまでも良く響く声で放たれた紅蓮の言葉に肩をビクッと震わせた。
途端、私たちとは反対へ向かって勢いよく走り去っていく狼の群れ。
張り詰めた空気が一瞬で和らいで、その場にへたり込みそうになる私を、紅蓮の腕がグッと支えた。
「馬鹿か、お前は!!」
「っ、」
こんなに怖い思いした私に対して、第一声がそれ?嘘でしょ!?
助けに来てくれたこと、ほんの少しだけ嬉しいと思ってしまった自分がバカみたいに思えてくる。