狂愛彼氏
「大丈夫、俺がいるから」
「む、無理だって!!」
歩き出した疾風に動くまいと踏ん張る。しかし、悲しいかな、ここは力の差だろう、ズルズルと引きずられていく。
「ちょ、疾風!」
「優達先に行ったから」
「私は、行かないって!!」
「大丈夫、大丈夫」
何が大丈夫だ!と叫ぼうとして、まるで私の心を代弁しているかのようにお化け屋敷の中から凄まじい悲鳴が聞こえてきた。
ビシッと私の身体が固まる。
「へぇ―……一体何が出るんだろうな?」
その言葉と同時に一歩、お化け屋敷に足を踏み入れてしまう。
「行ってらっしゃーい」と係りの声に絶望。
「………うぅ、帰りたい…」
入ってしまったものは仕方ない。私は、疾風にべったりとくっついて周りに注意しながら進んでいた。