狂愛彼氏
(頑張るって何をだよ)
小さくため息をはいて、俺は、携帯で時間を確認する。
まだ、時間はたくさんある。
今日の授業も比較的楽なやつだし、昨日の時間までには余裕で終わる。
携帯をポケットにしまいなおして、俺は、歩き出した。
(…………頑張らなくて良い)
頑張るなんて言葉必要ない。
あいつは、もう俺のものなんだ。
あの日から、ずっと。
これからも。
(離すつもりはない)
やっと苦労して見つけたのだから。
あいつは、覚えてないかもしれない。
でもそれでいい。
今からだから。
(今から、始まりだ)
side. 遥
何だかジロジロ見られているような気がするのは私だけだろうか?
「………愛麗」
「ん?」
「元に戻して…「駄目」…ですか……」
はぁ、とため息を1つ。
足がいつもより寒く感じるのは気のせいではないだろう。
教室を出てから私達が向かったのは誰も使っていない空き教室。
そこで何をしたかと思えば、いきなり愛麗は鞄の中から物を出し始めた。
鏡、大きなポーチ………
(教科書、入ってないじゃない……)
一体、何しに来ているのか甚だ疑問だ。
「よし、」
(何がよし?)
一人気合いをいれている愛麗に、私は、首を傾けた。
すると、愛麗は私に目を向けるなり、にっこりと笑った。