狂愛彼氏
同じ境遇でもあり、だんだん私は愛麗に心を開くようになる。
私は、消えてなくなってしまいたいくらいに思っていたのに、化粧をして現れた愛麗に心底驚いた。
―――どう?似合う?
どうしたのだ、と聞いても秘密、と口を割ることはなかった。
その日以来、愛麗はずっと化粧をしている。
自分を主張しているようで私は不安だった。
その理由を今、愛麗は教えてくれる。
「化粧って便利だよ」
あんたが目立たなくなるんだから。
「…………愛麗、まさか」
私が考え付いた答えが合っているなら、私は、ずっと―――
「お礼、だよ」
ニッコリと愛麗は笑った。
「お、礼?」
「あたしさ、実はあん時死にいく途中だったんだよね」
「!」
ヘラリと他人事のように言うけれど、それは私にとっては衝撃的な事だった。
「人間関係も家族とも上手くいかないし、疲れちゃって。だから、あの時あたしは、諦めていた。どうせ死ぬんだし、絶望のまま死んだ方が楽に死ねるかも、なんて。
結局は、助けられて死ねなかったけど」
「そんな時、あんたは私の側にいてくれた」
正しくはあたしが甲斐甲斐しく遥の側にいただけなんだけど。
と私に化粧をしながら愛麗は笑う。