狂愛彼氏


それから、愛麗はあの時の自分の気持ちを教えてくれた。


まるで押し売りみたいに側にくっついていたけれど、邪険になんかしなくて、言葉を交わすことは少なかったけれど、拒絶されなかったことが嬉しくて。
もう少し、生きてみようかと思った。
この子の側で。


そうしたら妙に周りが見やすくなって、あたしは1つ気づいた。


周りの遥に対する視線だ。
女からは妬みの視線、男からは厭らしい視線。
本人は気づいていないのか、頓着していないのかどちらにしても危ういなと思った。


純情そうな綺麗な子。
何も知らない、それが危険を呼ぶだろうとあたしは思った。


それに気づいてからあたしは化粧をし始めた。


「これが意外と好評で」


うまい具合に遥を隠すことに成功したのだ。


そう愛麗は、アイラインをしながら楽しそうに答えた。


「………ずっと、私を守るために?」

「守るため、……そうね」


ボディーガードには残念ながらなれないけど。


胸が痛くなった。


「っ………馬鹿じゃないの…!」


馬鹿だ、愛麗は、馬鹿だよ。
私は、愛麗に守ってもらう程の価値ではないのに。
そんなことして、自分が狙われたらどうするの?愛麗も文句無しに可愛いのに。



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