狂愛彼氏
私は、疾風の向かい側に座った。
掌にジワリと汗が滲むような感じがした。
「………俺とお前は初めて会ったのは、カラオケの日じゃない。」
「………え?」
耳を、疑う。
え?あの日が初めてじゃない?
あの日以前に会った記憶は私にはない。
「………俺が、お前と会ったのは、五年前だ」
五、年前……?
ドクッと心臓が軽く跳ねた。
まさか、と思う。
一瞬、脳裏を横切った光景。
でもそんなわけない。
「俺は、仲間とバイクで走っていて、何時も通る公園があった。」
その公園は、俺達が何時も通るからか、他の連中は踏み入れない場所だった。
「でもその日は、バイクが何台か止まっていた。」
公園の奥の方にバイクが数台。
それは、俺達にとっては不審に見えて。
「仲間と一緒に近付いたら………男と女がいた」
「っ……」
ギュッとスカートを握る。
皺になるかもなんて気にしなかった。
疾風の視線が私に向けられる。