狂愛彼氏
恐怖も悲しみも何も映っていない。
僅かに、諦めが見えるくらいか。
俺は、その女に近づいた。
『大丈夫か、』
女が、顔を上げる。
視線が交じる。
『………うん』
小さく頷き、女は視線を戻す。
たった、それだけだったのに、俺はこの女から目が離せなかった。
屈んで、女の視界に入る。
『おい、』
『………』
『おい、』
『……なに』
無表情のまま、女が俺を見た。
一切の感情は見られない。
『怪我はないか』
『ない……と思う』
どこも痛くないと言うから、暴力は奮われなかったのだろう。
抵抗しなかったから。
何故だか、この女に対して怒りを覚える。俺達が通っていなかったら、今頃ヤられていたというのに、抵抗せず受け入れたのか、この女は。