狂愛彼氏


『……立てるか』


取り敢えず、家まで送ろうと思った。
警察に連れていった方がいいのだろうか。出来るなら行きたくないが。


腰を上げて、もう一人の方を見てみると、自分の片割れでもある優が手を差し出していた。


(………珍しい)


自分から手を差し出すことのない片割れの行動に驚く。


(あっちはいいか)


優に任せておこう。


俺は、改めて視線を下げる。
女は座ったまま微動だにしない。


『おい』

『………』


チラッと俺を見て、わかってると言いたげに女は足に力を入れる。


『……』

『………』


しかし、女の足は地面に縫い付けられてしまったかのように動かなかった。


瞬時に俺は、悟った。
そして、怒りを覚えた自分を殴りたくなった。


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