狂愛彼氏
(あ……ぶな…)
息を呑む。このまま進んでいたら今頃きっと宙に舞っているところだったかもしれない。
考えただけで恐ろしい。
私は、身震いをすると、スタスタと先を歩いている疾風の背中を追う。
どうして、不機嫌なのだろうか。
(私、何かしたかな?)
そう思っても思い当たる節が見当たらない。
優さんに教えてもらったと言うケーキ屋に行っても何もしゃべらなくて、店を出てから私のマンションまでの道のりでも一言もない。
流石の私も、不安になってきた。
「………疾風、私、何かした……?」
恐る恐る背中に投げ掛ける。
ピタリと止まった疾風は、肩越しに振り返る。
「……自分の胸に手を当てて見れば」
「……」
言われた通りにしても、全く検討がつかない。