狂愛彼氏
別に悪いことなんてひとつもしていないのに反射的に逃げたくなる。
疾風は、私から目を反らすことなく足先をこちらに向ける。
「こっち来るよっ」
隣で真菜が髪を整えたりしているけど、意味ないよ………?
私は、その場に縫い付けられたように動くことが出来なかった。
疾風が私の前で立ち止まる。
ジッと見下ろされていると威圧感に身がすくむ。
「こんにちはー」
………真菜空気読んでよ…!!
「………遅い」
「遅かった……?」
「何してたんだよ」
「うー、ごめん」
「帰るぞ」
疾風は、真菜を一切無視してあたしの手をつかむ。
「え、知り合い?」
真菜が驚くのも無理ないよね。
「あー、うん」
「そうなんだ?」
僅かに真菜は眉を寄せた。