王族の婚姻をなんだと思っていますか!
はたりと自分の言った言葉に気がついて、身体中が爆発的に熱くなる。

「え、ええ……わ、わたくし……」

「奇遇ですね。私もノーラが好きです。愛しています」

あ、愛しています⁉

まさか、いや、まさかじゃないけど、愛されちゃってるの⁉

思わず目眩がしてきそうになったら、ドカドカとした足音とともに、父上が執務室に入ってきた。

「殿下! ワシになんの用ですか、あなたの寄越した使者では要領が得ない!」

ううん。いきなり現れた父上の登場の方が私にはわからないし要領も得ないよ!

だけど、ウォル殿下は冷静に、父上と私を見比べて、スッと立ち上がり……そして私の手を捧げるように持ち直すと、目の前に片膝をついた。

「殿下……?」

不思議そうな声を出した父上を無視して、ウォル殿下の視線はひたすらに私に向けられている。

「ウォルフレード・ノート・フォン・セレスティアと申します。どうぞ、姫はウォルとお呼びください」


……古くから続く国は、古くからの伝統を重んじる。

セレスティアで名前をフルネームで相手に告げること、なおかつ愛称までを異性に呼ばせる……娘の家長である、そう、父上の前で。

思わず微笑むと、静かに息を吸い込んだ。


「レオノラ・アリエッタ・デュ・フォレシティオと申します。どうぞ、殿下はノーラとお呼びください」

そう告げると、ウォル殿下は立ち上がり、私を抱えあげるとくるくると回り出した。
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