王族の婚姻をなんだと思っていますか!
花街でうんぬんはともかく、王宮図書館の蔵書の件はアウトでしょう。

王宮図書館の蔵書は国庫で賄われているんだから、いわば国の財産に手をつけたことになるし。

遠い目をしていたら、微かに甘い香りがして、女官が入ってくると、テキパキとローテーブルにお茶と焼き菓子を並べていく。

そして、彼女が下がっていくと、ウォル殿下はティーカップを持ち上げ、カップ越しに私を見つめた。

「そんな話をしたわけではないでしょう? 礼儀正しいノーラが、王妃殿下とのお茶会を途中で抜け出してまでやって来たのですから」

そうだった! 私はのんきにウォル殿下とお茶をしばきに来たわけじゃなかった!

でもなんと言おう。まだ決まってない。

さすがに『あなたのことは嫌いじゃないんです』なんて言ったら、上から目線過ぎていただけないよね。

えーと、嫌いの反対語で言えばいい?


「私、ウォル殿下がすきなんですわ」


そう言った瞬間に、ウォル殿下の目が真ん丸になって、それから彼は盛大に咳き込んだ。


「だ、大丈夫です?」

慌てて駆け寄ってウォル殿下の背中をさすると、彼は咳き込みながらも私の手を片手で掴んで止めてくる。

しばらくして落ち着いてから、ウォル殿下は驚いたように私を見上げた。

「ノーラは、私が好きなんですか?」

そりゃそうだよ。嫌いじゃなければ好きなんじゃないか。

ん……好きなんだ?
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