私の恋した誘拐犯【完】
なんだろう、と考えてみても当たり前ながら明確な予想はできなかった。



けれど、洋くんのこともあるし、たくちゃんが私と2人きりで話したいことなんてきっとたくさんある。



「ひゃ〜最近はほんと寒いね〜」



手をこすり合わせながら、沈黙から逃げるように私が呟くと



「だな」



たくちゃんはバイクを押しながら頷いた。



そしてやってくる沈黙。



いつもはなんてことのない沈黙のはずなのに、今日の沈黙はチクチクとしていて痛い。



嫌な沈黙。
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