私の恋した誘拐犯【完】
「…だから尚更話したくないんだよ」



「洋くん、結構ヘタレなんだね」



「ヘタレって…」



いつも余裕な洋くん。



「話さなかったとして、もうこの話しを知らなかった私は戻ってこないよ」



何かを隠している洋くんとして、私はこれから接し続ける。



話さなかった洋くんをずっと責め続ける。



「大丈夫だから。…話して洋くん」



そっと頰から手を離すと、洋くんはユラユラ揺れていた目を隠すように瞼を閉じた。
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