私の恋した誘拐犯【完】
だけど、



「洋、くんは……そんなこと、1人で…抱えてたんだね……っ」



耐えられない辛さは、全てを知っていた洋くんにあった。



全部を知った上で私を連れ去ったこと。



それを今の今まで1人で抱え込んでいたこと。



知らないフリして笑っていたこと。



もちろん、お金を理由になんて最低なことだ。



私にはお金で交渉できるような価値しかなかったということが、胸を突き刺してくる。



それでも、洋くんはずっと辛かったはずで、



ずっと苦しかったはず。
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