私の恋した誘拐犯【完】
どこかで分かってた。



洋くんに本当の気持ちを伝える勇気がない自分に何かしら理由をつけたがって。



「あの男が彼女を作ったとき、結婚したとき、子供ができたとき。千織は心の底から祝福できんのかって」



「…っ」



「曖昧な関係が幸せなのは、現実から目を背けていられるほんの一瞬だけなんだよ」



洋くんに本気でぶつかっていかなくても



そんな危ない橋を渡らずとも



洋くんとずっと一緒いられるじゃんって



どこかで錯覚していた。
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