私の恋した誘拐犯【完】
私はたくちゃんの気持ちを無いものにしてまで、洋くんを選んだというのに。



「でも私、このままでも幸せかなって最近思っ「ちげーよ」



私の言葉を遮り、たくちゃんは私を真っ直ぐに見つめた。



その表情は私の心を見抜いているようだった。



「変わることから逃げて、進むこともできないお前が、それを肯定するために…それでもいいと思い込むために作った言い訳だろ」



「言い訳…?」



「好きな奴と結ばれなくて幸せ?んなわけねーんだよ。今のままが幸せに思えるのは、あの男に女がいないからだ」



たくちゃんのもっともすぎる言葉に、私は何も言い返せなくなっていた。



言い返していいわけがなかった。
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