私の恋した誘拐犯【完】
「俺ができなかった……、与えてやれなかったもの」



自分でも呆れるほどのバカ。



もっと欲張りになりたい



「アンタなら…与えてやれるんだよ……!」



俺が欲しくて欲しくて仕方なかったもの



いくら金を出そうが、いくらその手を握ろうが、いくら手を伸ばそうが



届かなかった



「拓巳くんはほんと…俺なんかよりずっと大人だね」



大きい溜め息だったか、それとも深呼吸だったか



区別のできない大きな息をついて。
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