その男、カドクラ ケンイチ

ガラガラ


早速職員室に向かったカドクラは、
扉を空けると同時に勢いよく声を上げた。

「おはようございます。今日からこの…」


シ~ン


誰もいない。



(あれ??)


カドクラはキョロキョロする。


(なぜ誰もいないのだ。)



「おはようございます。」


声のするほうを見ると、
いま登校してきたと思われる女子生徒が立っていた。


「あ、あ、おはようございます。」


「新しい先生ですか?」

「ああはい。今日から赴任してきたカドクラです。」

「あっそ。」


女生徒は教室へ向かい歩き出した。




(“あっそ” だと!?)




カドクラは一瞬ピクッとしたがすぐに冷静になって自分の状況を思い出す。


(なぜ誰もいない。
どうすればいいんだ。)


カドクラはとりあえず
廊下で待機することにした。

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