【完】聖剣伝説~愛を紡ぎ出すもの~
「それにしても…暗過ぎますね」

「そう、だな…こんなに深い闇の中では、自分の位置さえ見失う…コナーお前には見えているのか?」




ザッザッザッ…
 



静かに呟きながら、見えなき道を行く。


それが少し不安になり、ルークはコナーに声を掛けた。




「んー…見えるんじゃなくて、正確には、感じる、かな?」

「感じる?」

「そう…あんた達が、風の匂いや音を感じるように、ね」

「何故…?」

「何故?さぁ?なんでだろうね?そんな事はどうでもいいんじゃない?この旅を選んだのはあんた達だ。俺じゃない。俺は自由な吟遊詩人。誰にも囚われない…あ、アリア以外にはね」






コナーは、ルークに向けて、茶目っ気たっぷりにウィンクをしてそう言う。


その様は余裕たっぷりとしていて、ルークはそれが気に食わなかった。


何故、そう思う?


でも、それは考えてはいけないことのような気がして、ルークは一呼吸置くと、オリヴァーの方に視線をやった。



「とにかく、今は…出来るだけ、己の五感を研ぎ澄ませよう…」

「そうですね」



行く宛の分からないまま、手探りの中での冒険は、まるで茨の道のようだった。


みな、心の何処かに不安の種火を抱えていた。

まさか、それがこれからの災いになるとは分からずに…。






神々は、静かに皆の旅を見つめ、片方は嘲笑い、もう片方は祈るような気持ちでいた。



グレイズは闇の彼方で、丸くなり瞳を閉じている。


その意識の中には、誰もが見る事のできない一筋の光を見据えていた。


けれど、ロテュスの怒りの強大さに、今は静かに身を任せていた。


ロテュスは、怒りにより破壊の神と化した。
この世に闇を立ち込め、それでは飽き足らず、禍をもたらす魔物達を量産していった。



人々は、餌食となるのを恐れ、どんどんとアザクシュベルを去って行った。


この闇の中…。


全てを取り込む、闇の中に…。


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