【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…


「センセは彼女いるんですか?」





こんなこと、聞いてどうするんだろう。

そうは思うけど、なんだか聞かずにはいられなかった。





「いないけど。いたらこんなこと出来ないだろ」

「そう…ですね」

「わかってると思うけど本気になんなよ?
これはフリであって演技なんだからな」





今の私の心を読んだみたいに…

なんて的確に釘を刺してくるの?





「わ、わかってますよ…」




そう言うしかない。

実はその気になってきてます、なんて言えない。





「それに俺、教師と生徒なんてありえないと思ってるから」





より強い否定の言葉。

私はセンセの隣には立っていられないという絶望の言葉。



両親が教師と元教え子である私にとってどこかモヤモヤする言葉だった。

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