【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…
「梨奈。最近…喋りに行かないね?」
茉優は私があんなにも通っていた保健室にぱったりと行かなくなったことを心配してくれていた。
「センセー忙しそう…なんだ」
ありもしない嘘をつく。
ごめんね、茉優…
「別に怪我したわけでも体調が悪いわけでもないんだから行かなくていいだろ」
そう言うのは鈴木。
「そ、そうそう!
逆に今までが迷惑だったんだよ」
自分で発した言葉に自分で傷付く。
迷惑…か。
センセー優しいからなぁ。
嫌な顔ひとつしなかった。
放課後だってデートの約束とかなかったのかな?
あんなに引き止めちゃって、彼女さんとは大丈夫だったんだろうか。
想像に、想像が重なって
重くなったものがのしかかってくる。
それでも…センセーの顔が見たい。
そう思う気持ちは止められなかった。