小さな奇跡。
「岡本がどんな気持ちで俺のそばにいたか…?そんなことこれっぽっちもわかない…てか…分かろうとなんてしなかった…それは俺が悪い…でも…!こいつは関係ない!こいつだって何個もオーディションを受けてきてやっと手に入れた主演…こいつだって命かけて毎日頑張ってきたんだ!いきなりなんの努力もせずにテレビに出てるなんて思われてるかもしんねーけど…そんなことない…お互い思い込みなんだよ!嫉妬だがなんだかしんねーけど…なんも知らねーでゴタゴタ言うな!」
「なんだよ…カッコつけやがって…。
お前には負けたよ…悪かった…」
あのクソがそう言って手を差し伸べた時…
「イヤーーーー!やめて…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
何が起きたかなんてわかんなかった…。
「パニックだ!」
翔太がそういうまで頭が真っ白だった…
それもそのはず…凛の手首には浅いが数本の切り傷…服ははだけてて…呼吸も浅かった…
「ごめん…すまない…な?」
あのクソ男はそう言ったが凛にはそんな声届くはずがない
すぐさま駆け寄り…俺が来てたパーカーをかける…
「大丈夫…大丈夫だから…な…?
助けにきたろ…?な…?ゆっくり…ゆっくり…深呼吸しよ?大丈夫…どこにも行かない…な?」
あの頃のようにそっと包み込んだ…