また内緒の話




中に入ると





「来那ちゃんこんにちはー」




白髪混じりの先生が笑顔で座っていた




この人が麻生先生だな



「こ、こんにちは」




来那は緊張している様子



「体調はどう?」



麻生先生が来那に聞く





「大丈夫だと思います」



「そっか、変わったこととかはない?」



「いえ、特には」




来那は淡々と質問に答える




「彼はお友達?」



麻生先生は俺に手のひらを向けて来那に聞く



「彼氏です」



「えぇーー!来那ちゃんに彼氏かー
なんか寂しくなっちゃうなー」



と麻生先生はまたぱーっと笑顔になる




いい人そうだな



来那は質問に答えるだけだった



特にどこかを診てもらうわけでもない




「はい、じゃあ以上になりますね」





ドテー!!




俺はすっ転ぶ




「あれ!?終わりですか??」



「はい、終わりです」



相変わらず笑顔の麻生先生





は、はやいな




「だ、だってもっとなんかないんですか?
レントゲン撮って体に異常はないかとか?」



俺は飛びつくように麻生先生に訴える




「気持ちはわかるよ?
ただそれは最初にやったからね
でも、脳には異常はなかった
原因不明の記憶障害なんだよ」





笑顔だった麻生先生は急に真顔になる




専門の先生に言われたら納得するしかないじゃないか
















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