また内緒の話




来那もいまいちピンときてないみたいだ



「麻生先生はずっと来那を担当してたんですか?」



俺は唐突に聞いてみる


「うん、
来那ちゃんが14歳の頃からだから6年前になるね」



俺と来那が会う前からか




でもこの人のおかげでなんとかなってんのかな?



質問しかしてないけど




「来那ちゃん他に何か質問とかある?」



麻生先生は来那の方に目を向ける




来那は下を向く



しばらく黙ったままだった







「来那?どうした?」



俺が来那に聞くと




来那はやっと口を開く






「どうやったらずっと記憶してられるの?」





俺でも分かりきった事だった




でも来那は必死な顔をして言う




「りつとの思い出を共有したい」




「今の来那ちゃんじゃ無理だよ」



「いつ治ってくれるの?」



「申し訳ないけどそれはわからないよ
それがわかれば君はここに来る必要はないからね」



「………」




来那は納得してないような表情で黙ってしまう




「私もね、来那ちゃんが良くなるように考えてるんだよ?」



深い息を吐いて来那の目を真っ直ぐ見つめる麻生先生



俺もなんだか見ていられなかった







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